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最高裁判所第一小法廷 昭和36年(あ)188号 決定 1962年2月22日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人荒井金雄の上告趣意第一点は単なる法令違反の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。なお(一)物品税法一五条の規定によって政府に対し申告をした製造業者たる納税義務者が自らの詐偽によってその不正の行為を以て物品税を逋脱したときはその納税義務者は同法一八条一項一号により処罰を受くべきは勿論であるが、それだからと云って、納税義務者の従業員がその義務者の業務に関し自らの不正行為を以て物品税を逋脱した場合にその不正行為が納税義務者の利益のためになされたと否と、また行為者個人の金員着服の目的に出でたると否とを問わず物品税法一八条一項二号の責を免れ得べきでない。そしてこの場合行為者に刑法上の犯罪が成立すると否と、民事上の責任が成立すると否とは問うところではない。(二)そしてこの場合納税義務者たる製造業者たる法人のみが逋脱罪の罪責を負うものであって、被告人の如きその使用人が刑法上罪責を負担しないものと解すべき何らの根拠もない。

同第二点は量刑不当の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 高木常七)

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